雨森敬太郎薬房(あまもりけいたろうやくぼう)・薬の老舗のれん
創業1648年の老舗。
のれんに記されている「無二膏」という膏薬を扱う薬屋。
のれん全体にこれだけたくさん文字が配置されているのは珍しい。
右に書かれている雨森良意は薬を作り出した人の名。
すいだしの膏薬とは、はれ物の膿 (うみ) を吸い出すためにはる膏薬のこと。
すいだしの「だ」の字は現在の「太」からきた「た」ではなく「多」からきた古いかな文字(変体仮名)。
「無二膏」の力強い髭文字が迫力あります。
髭文字はのれんの他にお酒のラベルなどによく用いられて、力強い文字ですが、なかなか不思議な字体です。
近くで見ると雲のような部分と、つんと飛び出た髭でユーモラスなんですが、離れて見ると力強さが出てきます。
江戸時代に生まれた字体ですが、この時代の字書きさんのセンスを感じます。
勘亭流や寄席文字も江戸時代に生まれています。
私の祖母は「無二膏」を使っていました。
医薬品で、「効能:お灸のあとに排膿、よおう、疔、ねぶと、乳腫、きりきず
用法:布又は厚紙に延し、患部に附し繃帯す。固き時は火にてあたたむ。
朝夕2回張替へ排膿多き時は1日に3~4回張替うべし。」と書かれている。
訪れた時は、「ご購入はこちらの薬局で」という販売店を紹介した表示がありました。
そちらで購入できるようです。
建築家川崎清さんの著書、「仕組まれた意匠 京都空間の研究」の中で、
京都の伝統的な看板として、この雨森敬太郎薬房さんの木製の屋根看板が挙げられています。
写真:10月撮影
雨森敬太郎薬房(あまもりけいたろうやくぼう)
京都市中京区 車屋町通二条下る仁王門突抜町307
アクセス
地下鉄「烏丸御池」を下車し北に向かいます。
烏丸通りから、一つ東側の南北に走る通り、車屋町通
(くるまやちょうどおり)沿いのお店。
すぐ近くには蕎麦、和菓子の老舗、本家尾張屋 (ほんけおわりや)ののれんや、烏丸通りに面したところにはお香で有名な香老舗 松栄堂ののれんがあります。